放課後児童クラブにCSP導入

一般社団法人たっくたっく

CSP幼児版管理者・金城修さん

1. 法人設立の経緯と活動内容をお教えてください。

【経緯】
2015 年3 月 『子育て団体たっくたく』から『一般社団法人たっくたっく』を設立。 2015 年4 月 那覇市に『すずのね児童クラブ』設立・運営。
2016 年4 月 糸満市に『糸満市真壁児童クラブ』を設立・運営。
2017 年4 月 糸満市に『こめす児童クラブ』『ことり児童クラブ』を設立・運営。

【活動内容】
「放課後児童クラブ運営指針」「設備及び運営に関する基準」に沿った運営を行い、児童クラブとして『あそび』『居場所』『社会スキル』の“3つのコンセプト”を基本とした支援を実施しています。支援の手法としてコモンセンス・ペアレンティングを用い、子どもへの関わり・保護者支援を行っています。また、異年齢集団のなかで、五感をフルにつかった自然体験活動や、学年別の活動などを通し、『第二の家庭』として安心できる仲間づくりも行っています。

一般社団法人たっくたっく 金城修さん

2. CSP を学ぶ前の様子を教えてください。

これまでの児童クラブでは先輩支援員の「経験」を頼りに支援を行っていました。統一された支援方法もなかったため、子どもの対応方法に「一貫性」がなく、安定しない保育を行っていました。そのため、一向に改善しない子どもの問題行動の対応に追われる日々でした。

3. いつCSP の取り組みをはじめましたか?

団体としてCSPを支援の軸として取り組みはじめたのは3年前。真壁児童クラブは設立時から取り組み、すずのね児童クラブは2年目からの取り組みとなりました。

4. 学んだきっかけを教えてください。

すずのね児童クラブを設立する際、支援の軸を探していたところ『ボーイズタウンのCSP養成講座』の話を聴き、養成講座を受講。初級指導者を取得したものの、良いとこどりをしていたため、子どもの支援・職員の育成も上手くいかず、法人設立から2年目にして、本格的に学び直しをすることになりました。

5. CSP を学ぶ前と後で、支援方法に変化はありましたか?

CSP を本格的に学び支援に取り入れたことで、支援員が「怒鳴る」「脅し」をすることがなくなり、落ち着いた声かけや支援をするようになりました。問題行動に対して、適応行動・社会スキルを教えることで、設立時は日々問題行動に追われていたのが、3分の1まで減ったと感じるまでになりました。そして支援員が落ち着き、子どもも落ち着いて話し合いをすることで、問題行動の対応時間が大幅に短くなり、子どもとの「育み」の時間が増えました。

子どもの側にたった理由をはじめ、子ども側にたった仕組み作りや動線、モチベーションシステムがあるため、頭ごなしの話し合いではなく子どもに理解・納得できる説明をすることができるようになりました。

6. 支援スタッフ全員がCSP を学んだことで、何が変わりましたか?

職員全員がCSP を学ぶことで、職員同士で『共通言語』ができ、子どもへの一貫した支援、職員間でFB・育成を行うことができるようになりました。そして、子どもと職員の関係だけでなく、職員間の関係も良くなり、児童クラブ全体の雰囲気も良くなりました。

7. CSP をどのように支援活動に取り入れていますか?具体例をいくつか紹介してください。

ニコニコ★ポイント表
ニコニコ★ポイントの貼り風景
ポイント景品
社会スキルと理由
スキル練習カード
宿題座る表

●ポイントカード
生活の中で、良い行動をする・お手伝いする・デイリーポイントをためる・スキル練習をするとポイントがたまり、景品・特権が得られるシステムです。

●デイリーポイント
『ただいま~と登室』『登室時間をかく』『宿題をする』『お迎えがきたら、わかったと退室』 上記、4つの項目を全てクリアすると、翌日にデイリーの特権がえられます。

●活動前のスキル練習
長期休みなどに実施される『全体のおでかけ』や『学年別の活動』に、活動に必要なスキル・ステップ・状況を練習すると活動に参加できます。

●新年度説明会での保護者向け紹介講座
年度初めに、保護者全世帯に『紹介講座』を実施しています。児童クラブでの支援方法・CSP に理解を深めています。

●保護者への連続講座
希望保護者に連続講座を実施しています。平日、土曜日の午前中を使い、児童クラブに通う保護者向けにセッションを行っています。

●他児童クラブ、団体への紹介講座、連続講座
希望の児童クラブ、団体へ不定期で講座を開催しています。沖縄本島だけでなく、宮古や石垣でも講座を開催しています。

8. お子さんや親御さんからの反応はどうですか?

CSP を導入したことで、1年を通して、前よりも増して、子ども達はとても楽しそうに、児童クラブで生活をするようになりました。また、支援員が一貫した声かけをしているため、学校友達との関わりの中で、「今のは悪い行動なので、悪い結果がありますね~」「すばらしい!良い行動ですね」「水を飲んだら落ち着くよ」「今、指示に従うスキルを使いました」等の会話が飛び交っていると、学校の先生や・保護者から聞くことがあります。CSPの技法が、子ども達にも楽しく、良い学び、愛のある育みとして定着しているのを感じることができます。

また、子ども達からの「学童嫌だ。嫌い。行きたくない。」がほとんどなくなりました。 児童クラブに入ったことで「子どもの成長を感じる!」という保護者の声も多く、連続講座を受講した親からは、「目からうろこ」「育みが足りないことに気がついた」「学童でCSPを用いた対応をしてくれているため助かる」などの声をいただいています。 以前は、子どもの“相談”は主任支援員が多く受けていたましたが、現在は、他支援員へも相談をするようになり、支援員は適切なアドバイスができる関係になっています。また、連続講座をとおして、『保護者同士のつながりの場』『子育てを共有する場』となり、保護者も大変喜んでいます。


9. 今後の方針(やってみたいこと)についてお聞かせください

児童クラブの CSP モデルを作り、沖縄だけではなく、全国の児童クラブへ CSP を用いた支援方法を広めていきたいです。


一般社団法人たっくたっく
沖縄県那覇市若狭1-20-16 1階
TEL: 090-1179-1199
http://suzunone20150401.wixsite.com/takkutakku